生命保険は大きく分けて「貯蓄型」と「掛け捨て型」の2つのタイプに分かれます。
これについてはどちらが優れているという訳ではなく、それぞれにメリットとデメリットがあり、経済状態や個人(家族)の価値観によって選び方が異なっているのが現状ですが、保険選びに慣れていない方にとってはどちらを選ぶかでかなり迷ってしまうと思います。
この記事では貯蓄型保険と掛け捨て型保険のメリットとデメリット、それぞれに向いているパターンなどを解説していますので、保険選びで迷う方は是非参考にしてもらえたらと思います。
それぞれの特徴について
まず初めに、それぞれがどんな内容の保険なのかについて解説します。
貯蓄型保険ってどんな保険?
名前から連想される通り、保障と貯蓄が一体となっている保険です。
例えば終身保険といった死亡保険の場合、被保険者が保険期間中に死亡・高度障害状態になった場合に死亡保険金が受け取れるという保障があるのに加え、保険期間中に解約すると解約返戻金を受け取れるという仕組みになっていることから、保障と貯蓄性のバランスが取れている保険として注目度が高いです。
ちなみに、保険料の払込満了後に解約した場合、払った保険料以上の解約返戻金になることもあります。
資産運用の目的でも利用されます。
掛け捨て型保険ってどんな保険?
貯蓄型とは異なり、満期を迎えても途中で解約しても払った保険料が戻ってこない保険が掛け捨て型となります。
単純に保障のみの保険となります。
貯蓄がされないので損をしているように感じられますが、掛け捨て型保険に払う保険料は保障のみに充てられるため、少ない保険料で大きな金額の保障を得られるという特徴があります。
貯蓄型の代表的な保険を紹介
終身保険
被保険者が死亡・高度障害状態になった時に死亡保険を受け取れる保険です。
また、途中で解約した場合は解約返戻金を受け取ることができるため、貯蓄性も高いです。
そして払込期間を過ぎてから解約する場合、払った保険料以上の解約返戻金を貰えることもあります。
現在、銀行に預けても0.001%という超低金利の時代ですので、100万円を預けても年間で10円しか増えてくれませんが、終身保険なら30年の払込期間で100万円が105万円になることもあります。
このように保障と貯蓄性に優れているのが終身保険ですが、貯蓄にまで力を注いでいる分、掛け捨て型と比べると保険金額は少なくなる傾向にあります。
学資保険
子供の学費を毎月貯めていき、必要な時期に学資金を受け取れるのが学資保険です。
商品や受取時期・運用期間にもよりますが、基本的には支払った保険料以上の学資金を受け取れるパターンが多いです。
また、保険期間中に契約者(一家の大黒柱)に万が一があった場合、以後の保険料の払込が免除されるなど、単なる貯蓄と比べても保障がしっかりしているのが特徴です。
学資金の受取時期は契約時の内容によって異なります。
大学入学前に一気に受け取る場合もあれば、大学の1年ごとに受け取るパターン、幼稚園・小学校・中学校・高校の入学時にも受け取れるパターンもあります。
個人年金保険
老後に受け取れる年金を自分で用意していくという目的の保険が個人年金保険です。
毎月一定額を保険料として払い、保険会社に運用してもらい、60歳・65歳といった年齢から年金として受け取る形になっています。
そして基本的には支払った保険料以上の年金を受け取れるものが多いため、老後の年金に不安を感じている方に知っておいて欲しい保険となっています。
また、より投資に近い形の「変額個人年金保険」や「外貨建個人年金保険」もあります。
掛け捨て型の代表的な保険を紹介
定期死亡保険
被保険者が死亡・高度障害状態になった時に死亡保険金を受け取れる保険です。
「定期」という名前の通り保険期間が決まっており、10年・20年・30年という期間で定められている年満了タイプと、60歳まで・70歳までといった年齢で定められている歳満了タイプの契約があります。
年満了タイプの場合は満期時に更新するかどうかを選べて、更新のたびに保険料が見直されるのが一般的です。
掛け捨てなので資産運用には使えませんが、貯蓄型と比べるとかなり少ない保険料で大きな保障を得ることが出来ます。
収入保障保険
被保険者が死亡または高度障害状態になった時に、その時点から満期まで所定額の年金を受け取れるという保険です。
満期は60歳・65歳・70歳などで設定できます。
受取方法は毎月受け取る年金方式の他、一括で受け取れるパターンや、一部を一括で受け取って残りを年金で受け取るパターンなどを選択できます。
また、最低支払保証期間を2年や5年で設定できるため、満期直前に死亡した場合でも一定期間は受け取ることが可能となっています。
基本的に家族が必要とする生活費や学費の総額は年々少なくなっていくため、受け取れる年金の総額が経過年数とともに少なくなっていく収入保障保険は理にかなっている保険と言えます。
定期死亡保険よりも保障額は少ないですが、保険料もその分安くなっています。
医療保険・がん保険
病気やケガによる入院・手術などを保障してくれるのが医療保険です。
一般的には入院給付金と手術給付金が主契約となっており、通院・女性特有の病気・先進医療などは特約として自由に付加できる形になっているパターンが多いです。
また、保障内容ががんに特化されているがん保険もあります。
がんと診断された場合に高額な診断一時金を得られたり、放射線治療などを受けた場合に給付金を受け取れるという保険です。
医療保険もがん保険も定期型と終身型が用意されています。
そして両方とも基本的には掛け捨てとなっていますが、例外的に一定期間後に払った分が返ってくるという商品も用意されています。
それぞれのメリット・デメリット
貯蓄型保険、掛け捨て型保険の良い面と悪い面をまとめていきます。
貯蓄型保険のメリット・デメリット
貯蓄型保険のメリットとしては、やはり掛け捨てではないので損をしにくいという点が挙げられます。
一定期間、しっかりと保険料を払い続けることで、支払った以上のお金(返戻金・学資金・個人年金など)が受け取れるようになるため、資産運用として活用できるのは嬉しいですね。
また、終身保険であれば保障は一生涯続き、亡くなった時に指定した人に保険金が支払われるため、「保障+資産運用」が期待できます。
ちなみにその際は相続税の非課税枠があり、税金的にも優遇されるため、節税に使えるのもポイントです。
そして、貯蓄型保険であれば契約者貸付制度が利用できます。
これは解約返戻金を担保にお金を借りることが出来るという制度で、急な病気などの大きな出費がある時でも保険を解約せずに金銭面で力になれるというものです。
ただし、借りた分については金利が適用されます。
他のローンと比べるとかなり低金利で借りることはできますが、金利分だけ多く払うことになるため、その点は注意してください。
デメリットとしては保険料が高くなりがちという点です。
保障と貯蓄を一緒にできるため、やはりどうしても保険料は高くなってしまいます。
そのため、掛け捨て型と比べると保険料は高いのに、死亡保障額は低いというのが痛い点です。
また、保険料の払込途中で解約すると、解約返戻金が元本割れする可能性が出てきます。
これは解約のタイミングが早いほど返戻率は低くなってしまう傾向があるため、途中解約する可能性がある場合は良く検討したうえで契約するようにしましょう。
掛け捨て保険のメリット・デメリット
掛け捨て型保険のメリットとしては、やはり保険料が非常に安いことが挙げられます。
少ない保険料で大きな死亡保障額を得ることが出来るので、保障だけを求める場合は掛け捨て型の方が使いやすいと言えます。
経済的な理由で出来るだけ保険料を安くしたいという場合、掛け捨て型は大きな力になってくれることでしょう。
また、掛け捨てなので解約しても返ってくるお金はないため、どのタイミングで解約しても元本割れを気にする必要がありません。
もちろん解約すれば保障はなくなってしまいますが、保障の必要性を感じなくなった場合は何のしがらみもなく解約できます。
デメリットとしては、やはり支払った保険料が返ってこない点が挙げられます。
人間、誰だって損をしたくないという感情はあるものですので、払いっぱなしの掛け捨てよりも払った分が返ってくる貯蓄型の方に魅力を感じるのは当然と言えます。
もちろん掛け捨て型にしかないメリットがあることもすでに解説した通りですが、パッと見は掛け捨て型の方が魅力がないように感じられるのではないでしょうか。
また、死亡保険の場合は保障が定期のものが多く、終身での保障があまりないのが現状です。
ただし、医療保険やがん保険の場合は定期も終身も用意されているので、好きな方を選ぶことが出来ます。
どちらを選ぶべきかは自分・家庭の状況次第
これまで貯蓄型保険と掛け捨て型保険について解説してきましたが、最後にそれぞれの選び方についても解説したいと思います。
まず貯蓄型保険に向いている人ですが、具体的には以下の通りです。
出来るだけ損をしたくない人
投資が苦手で、資産運用を保険会社にお任せしたい人
保障額はそれほど多くなくても良いけど、払った保険料が返ってきて欲しい、一生涯保障が続いた方が安心できるという方は貯蓄型保険をお勧めします。
そして掛け捨て型保険に向いているのは、具体的には以下のような人です。
保険料を出来るだけ抑え、なおかつ保障は手厚くしたい人
貯蓄については保険会社に任せず、他の方法で運用したい人
資産運用については自分(保険以外の方法)でやるから、保険料は出来るだけ抑えたい、そして保障は一定期間だけでも良いという方に向いています。
どちらが良いという訳ではなく、経済状況や個人(家族)の価値観によってどちらが良いかが変わりますので、是非とも現状を見つめ直して、自分たちにとってよりよい保険を選んでいただけたら嬉しく思います。