外貨建保険を前向きに検討しているけど、どんな基準で商品や保障内容を選べば良いのかが分からない・・という方は少なくないのではないでしょうか。
そのような方に向けて、このページでは「外貨建保険の選び方」について分かりやすく解説していきます。
現時点で外貨建保険についてあまり詳しくないけど、保険選びで失敗しないための最低限の知識が欲しいという方は、是非このページを読んでみてください。
目次
【ポイント1】保険料の差をチェックしよう
外貨建保険には終身保険や個人年金保険がありますが、例えば外貨建終身保険ならどの保険会社でも保険料は変わらない・・という訳ではありません。
死亡・高度障害保険金が同じ金額でも、保険会社ごとで保険料が少し異なっているのが現状です。
そのため、外貨建保険を検討する際は、出来るだけ同じ条件で比較してみて、保険料の違いをチェックしておきましょう。
安い方が絶対に良いという訳ではありませんが、外貨建保険を選ぶ際に保険料の安さは重要な要素となるのは間違いありませんので。
【ポイント2】基準利率の最低保証の差をチェックしよう
外貨建保険は保険料だけでなく、基準利率の最低保証も会社ごとで異なっています。
基準利率とは、主契約の積立金に付利する利率のことを言います。
利率が高いほど効率よく資産を増やすことができますが、反対に利率が低いと思うように資産を増やすことができません。
そして利率はその時の景気によって常に変動します。
仮に基準利率が極端に低い状態(0.1%など)が続いた場合、資産はほぼ増えないということになりますが、そのような状況を防ぐため、外貨建保険では基準利率に最低保証が付けられているところが多く、一定以上の返戻金を確保できる仕組みになっています。
そして最低利率は会社ごとで異なりますので、外貨建保険を選ぶ際は最低利率を必ず比較してから選ぶようにしましょう。
より高い最低利率を保証してくれる会社を選んだ方が、将来のリスクが軽減されるからですね。
ちなみに、利率は0.5%違うだけでも、長い年月をかけることでその差はかなり大きくなります。
例えば30歳から100万円を2.0%と2.5%で運用した場合、以下の表のような金額になります。
60歳時点 | 70歳時点 | 80歳時点 | |
利率2.0% | 181万円 | 220万円 | 269万円 |
利率2.5% | 209万円 | 268万円 | 343万円 |
保険商品は保険料全てに利率がかかる訳ではなく、積み立てする人も多いため、このような単純な計算で将来の返戻金を求めることはできませんが、利率がほんの少し違うだけで将来的に大きな差が付く可能性があるということはご理解いただけたかと思います。
【ポイント3】保険料の払込方法をどうするか
一般的に保険料の支払いには2つの種類があります。
基本的には一度で支払う保険料が多いほど払込総額は少なくなります。
月払よりも半年払の方が、そしてそれよりも年払の方が払込総額は安くなり、一時払が最も安く抑えることができます。
では、外貨建保険も一時払が出来るならその方が良いのか・・と思いがちですが、そうとも言い切れません。
外貨建保険は外貨で運用されるため、その時の為替次第で支払う保険料が変わるという仕組みになっています。
そのため、もし円安の時(1ドル=150円)の時に一時払をしてしまって、その後に円高(1ドル=100円)になった場合、50%も高い買い物をしてしまったことになるのです。
これが外貨建保険の「為替リスク」です。
一時払で契約する場合は円高のタイミングを狙った方がお得になる訳ですが、現在の為替状況が将来と比較して円高なのか円安なのか、誰にも読むことが出来ませんので、一時払は為替リスクを最も受けてしまう支払方法と言えます。
反対に月払などの平準払の場合、支払う保険料の総額は一時払より高くなるものの、円安の時はそれなりに、そして円高の時はお得に買えるという「ドルコスト平均法」によってリスクヘッジすることができます。
そのため、平準払、その中でも月払が最も為替リスクが低く、安全性が高いと言えます。
このように外貨建保険は一時払にするか、平準払にするかを判断するのが難しいという一面がありますが、もし安全性を求めるなら平準払、中でも月払を選択するのが良いかと思います。
【ポイント4】終身保険・個人年金保険・養老保険のどれを選ぶか
外貨建保険には3つの種類があります。
終身保険、個人年金保険、養老保険で、貯蓄型中心の保険となっています。
それぞれの特徴は以下の通りです。
外貨建終身保険 | 払った保険料が外貨で運用される終身保険。 死亡・高度障害の保障が一生涯続き、払込満了後は払った保険料総額よりも多くの解約返戻金(外貨ベース)が貰える。 |
外貨建個人年金保険 | 払った保険料が外貨で運用される個人年金保険。 払込満了後は外貨ベースで年金を受け取れる。 |
外貨建養老保険 | 払った保険料が外貨で運用される養老保険。 保険期間中は死亡・高度障害の保障が付いており、満期時に外貨で保険金を受け取れる。 |
外貨建保険を選ぶ際、どれも貯蓄型ということで、どの種類を選ぶべきかで迷う方も少なくないでしょう。
これについては円建ての保険商品と同じ選び方で問題ありません。
年金形式で少しずつ受け取り、生活費の足しにしていきたいという目的なら外貨建個人年金保険がお勧めです。
一気にまとまったお金が入ってくる訳ではないため、生活水準を無駄に上げてしまう心配がありません。
ただ、外貨建個人年金保険の場合、死亡保障がそれまでに払った保険料相当額しかありません。
そのため、死亡保障を最初から大きな金額にしておきたい場合は外貨建終身保険、または外貨建養老保険がお勧めです。
終身保険と養老保険は両方ともまとまった金額を一気に受け取れるという特徴があり、子供や孫の学資金、老後資金としての活用に向いています。
さらに終身保険は満期がなくて一生涯の保障を得られ、解約はどのタイミングでも良いため、葬式代として残しておくことも出来ます。
終身保険は幅広く対応できる面を持っています。
そして養老保険は一定間のみの保障のため、将来のある時期に必ずお金が必要になるという場合に向いています。
【ポイント5】米ドル・ユーロ・豪ドルのどれを選ぶか
外貨建保険は日本円で払った保険料が外貨で運用されますが、外貨の種類として米ドル、ユーロ、豪ドルの3つ、もしくはその中のどれかを用意している保険商品が多いです。
種類は保険会社によって異なりますが、米ドルは比較的多くの商品で用意されています。
外貨建保険を検討する際、これらの通貨の中から一つを選んで契約する必要があります。
これについては、基本的には「これを選んでおけば確実」というような正解はありません。
将来の為替状況は誰にも分からないからです。
ただ、それぞれの通貨には特徴があるため、そちらを参考にすると良いでしょう。
米ドル | 世界の基軸通貨であり、国際間の取引に使われる。 取引量は他の通貨より圧倒的に多く、信頼性も高い。為替変動は比較的小さめ。 |
ユーロ | 複数の国の通貨として使用されており、米ドルに次いで第2位の取引量を誇る。 |
豪ドル | 米ドルやユーロほどの取引量がなく、為替レートの変動幅が大きくなりがち。 |
安全性で選ぶなら米ドルまたはユーロを選んだ方が無難と言えます。
豪ドルは為替の変動幅が大きくなりがちで、リスクは高いですがプラスになった場合の利益も大きいです。
ただ、やはり将来の為替は予測することが出来ないため、例えば米ドルを選んだとしてもそれが正解となるかは分かりません。
そのため、可能であれば保険料を半々にして米ドルと豪ドルの2つを契約するなど、リスクヘッジをするとより安全な運用が望めるかと思います。
【ポイント6】余計な税金がかからない契約にしよう
外貨建保険で受け取る保険金は、契約者・被保険者・受取人が誰になっているかにより、かかる税金の種類が異なってきます。
被保険者の死亡時に受け取った死亡保険金がどの種類の税金になるのかは、以下の表を見れば分かります。
契約者 (保険料負担者) |
被保険者 (亡くなった人) |
保険金受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 妻 | 相続税 (安い) |
妻 | 夫 | 妻 | 所得税 (高い) |
妻 | 夫 | 子供 | 贈与税 (とても高い) |
基本的には契約者と被保険者を同一(夫)にして、保険金を他の人(妻や子供)が受け取れるようにすれば相続税となり、税金が安くなる可能性が高くなります。
そのため、特別な事情がない限り、出来るだけこの形で契約したいところです。
贈与税になるとかなり高くなるため、避けた方が無難です。
ちなみに外貨建個人年金保険は年金形式で受け取りますが、その場合は以下の表のようになります。
契約者(保険料負担者) | 保険金受取人 | 税金の種類 |
夫 | 夫 | 所得税 (雑所得) |
夫 | 妻 | 1年目は贈与税+2年目からは所得税(雑所得) |
こちらも贈与税になると余計な税金がかかる可能性があるため、何かの事情がない限り契約者と受取人を同じにすることをお勧めします。
まとめ
今回は外貨建保険の選び方について解説してきました。
通常の円建ての保険と比べると内容が複雑で分かりにくいと感じるかも知れませんが、このページで紹介してきたポイントを押さえることで選びやすくなるかと思います。
この記事が外貨建保険選びの手助けになれたら幸いです。