医療保険と三大疾病保険、がん保険の違いは?それぞれのメリットとデメリット、向いている人についても解説

病気に備える保険を探す際、「医療保険と三大疾病保険、がん保険ってどう違うの?どれを選べばいいの?」という点で迷う方は多いかと思います。

この3つは似ているようで、内容はそれぞれで異なった特徴を持っています。

その特徴を理解することで、自分や家族がどの保険を選ぶべきかが自然と分かるようになるでしょう。

ここでは医療保険と三大疾病保険、がん保険の特徴や違いについて解説していますので、病気に備える保険をお探しの方は是非チェックしてみてください。

それぞれの保障の範囲と内容について

それでは、まず最初にそれぞれの保険の保障の範囲、そして内容について見ていきたいと思います。

保障の範囲

保障の範囲は以下の図のようになっています。


見ると一目瞭然ですが、医療保険の保障範囲が最も広いです。

がんを含む三大疾病はもちろん、病気やケガ全般に幅広く備えることが出来ます。

三大疾病保険はがん(悪性新生物)+急性心筋梗塞+脳卒中に備えることが出来ます。

医療保険と比べると範囲が狭く感じますが、日本人の死因の大半が三大疾病のため、意外と広範囲をフォローしてくれています。

また、三大疾病保険には死亡・高度障害状態の保障も付いています

がん保険はがん(悪性新生物、上皮内新生物)の保障に特化しているため、3つの中では一番保障範囲が狭いです。

その分、給付金・一時金の金額が高いという特徴があります。

次にそれぞれの特徴や内容について見ていきましょう。

医療保険の内容

病気やケガで入院・手術をした際に給付金を受け取れる保険です。

入院給付金は加入時に決めた日額給付金を入院日数に応じて受け取れます。

入院給付金の例
入院日数7日×日額給付金1万円=7万円

手術給付金は、入院給付金の日額に対して大体5倍~20倍という倍率で支払われます。

この倍率は入院の有無や手術の種類により異なります。

手術給付金の例
日額給付金1万円×倍率20=20万円

また、通院や先進医療などの保障は特約で付けることが出来ます。

さらにがん特約や三大疾病特約を付加できる商品もあるため、一つの医療保険で3種類の保障を詰め込むこともできます

ただし、付加した分だけ保険料は高くなるので、その点は注意してください。

三大疾病保険の内容

三大疾病であるがん(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中に罹り、所定の状態になった場合に一時金が支払われる保険です。

さらに死亡・高度障害状態になった場合は保険金が支払われます。

医療保障と死亡保障の両方を期待できる内容となっています。

一時金・保険金は100万円~300万円などの間で設定することが出来ます。

また、解約返戻金が支払われるプランもあるため、掛け捨てが嫌だという方にもメリットがある商品と言えます。

ちなみに、三大疾病全体を保障するわけではありません

がんだったら悪性新生物、そして心疾患全体ではなく急性心筋梗塞、脳血管疾患全体ではなく脳卒中と、三大疾病の中でも限定された症状が対称となっていることが多いです。

また、支払い条件も急性心筋梗塞と脳卒中は「60日ルール」が適用されることがあり、それぞれの病気によって60日間の労働制限や後遺症の継続が条件となることが多いです。

がん保険の内容

がんと診断された場合、または治療した場合に補償される保険です。

がん保険は大きく分けて4つのタイプ(主契約)に分かれることが多いです。

がん保険の4つのタイプ(主契約)
1. 診断一時金タイプ
2. 治療給付金タイプ
3. 入院給付金タイプ
4. 実額補償タイプ


1の診断一時金タイプは、がんと診断されたときに大きな一時金が支払われます。

一時金は50万円~200万円の間で設定するのが一般的です。

1回だけでなく2回目以降も受け取れるものもありますが、2回目以降は受取条件が少し厳しくなるケースが多いです。

2の治療給付金タイプは、抗がん剤治療や放射線治療などを受けたときに給付金が支払われます。

これは治療を受けた月ごとに、10万円~30万円などの間で設定した給付金を受け取ることが出来ます。

3の入院給付金タイプは、がんの治療で入院・手術したときに給付金が支払われます。

内容は医療保険のケースと変わらないのでそちらを見てもらえればと思いますが、がん保険の場合は入院給付金の支払日数は無制限となっています。

4の実額補償タイプは、がん治療で実際にかかった治療費(自由診療・先進医療を含む)を補償してくれます。

例えば先進医療で200万円の治療費がかかった場合、その実際の治療費が私たちに支払われるというものです。

この4パターンのどれかが主契約になっているがん保険がほとんどですが、例えば1の診断一時金タイプに2の治療給付金の特約を付加できることも多いため、比較的自由に保障内容を充実させることが出来ます。

医療保険や三大疾病保険と比べると保障の範囲は狭いですが、安い保険料の割に保障の内容はとても充実しているのが特徴です。

注目すべき相違点(メリット・デメリット)について

医療保険、三大疾病保険、がん保険のそれぞれの違いについて、特に注目すべきポイントを見ていきましょう。

医療保険の注目ポイント

医療保険の魅力ポイントとしては、やはり「保障内容の広さ」が挙げられます。

病気・ケガ全般に備えることができるのは医療保険だけなので、幅広く保障が欲しいという場合は医療保険が最適となります。

医療費が高額になりがちな先進医療を保障する特約「先進医療特約」についても、幅広い病気での治療が対象となっているため、この点についても安心感があります。

ただ、幅広く対応している分、いざ入院・手術をした場合の給付金はそれほど多くはありません

また、入院した場合の支払限度日数が60日~120日と制限があり、長期間の入院には対応していないのが痛いです。

ただし、特約として三大疾病での入院は日数無制限で保障してくれるものもあるため、限定的ではありますが長期入院に備えることも出来ます。

三大疾病保険の注目ポイント

三大疾病保険の魅力ポイントとしては、「死亡保障、そして解約返戻金も付いている」という点が挙げられます。

日本人の死亡率の大半を占める三大疾病に備えられるだけでも魅力がありますが、死亡保障が付いている上に解約返戻金があるのは見逃せません。

一つの保険で医療保障・死亡保障・貯蓄という3つに備えられるのは嬉しいところです。

一時金・保険金の金額もそれなりに高く設定されています。

ただ、貯蓄性が高い保険はそれだけ保険料も高くなる傾向があります

もし家計が厳しい場合は単純に医療保障だけ、死亡保障だけの保険の方が選びやすいかもしれません。

また、がんについては90日の免責期間が設けられるため、保険に加入してから約3ヶ月間はがんになったとしても保障の対象外になってしまいます。

そして急性心筋梗塞と脳卒中にも「60日ルール」があるため、病気になった場合でも意外と支払い条件を満たせず、一時金がもらえないというケースも出てくる恐れがあります。

がん保険の注目ポイント

がん保険の魅力ポイントとしては、「保険料が安い割に、保障が充実している」という点が挙げられます。

診断一時金であれば「がんと診断されたら支払われる」というハードルの低さで高額の一時金(100万円単位)が支払われますし、2回目以降も入院などが条件で支払われるため、再発した際の備えとしても優れています。

保険料が安い割に、がんに対して大きく備えることが出来るのは嬉しいポイントとなっています。

ただ、保障の範囲ががんのみという狭さなのが気になります。

今の日本人は2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡すると言われるくらい多くの人が罹る病気ではありますが、他の病気に対応していない点には気をつける必要がありそうです。

ちなみに先進医療特約もがん治療のみが対象となっているため、がん治療以外の先進医療を受けた場合は保障されないという点に注意してください。

また、がんについては90日の免責期間が設けられるため、保険に加入してから約3ヶ月間はがんになったとしても保障されません。

3つの中でどれを選べば良いのか?

医療保険と三大疾病保険、がん保険の中でどれを選べば良いのでしょうか。

それぞれで向いているタイプの人を挙げてみたいと思います。

医療保険が向いている人

貯蓄が少なく、病気になった際の治療費に困る状況(特に自営業)
妊娠予定の女性
高額な自己負担である先進医療に備えておきたい


医療保険は様々な病気やケガに備えられるため、「入院したけど、給付金が貰えないという状況は避けたい」という方に向いています。

また、貯蓄が少ない自営業の方の場合、入院で仕事を休むと家計が一気に苦しくなってしまいます。

それを避けるために、医療保険は役に立つはずです。

女性は妊娠すると子宮や妊娠関連のトラブルが起きやすくなるため、通常よりも医療保険の必要性がグッと上がります。

そして先進医療は高額な自己負担になってしまいますが、医療保険の先進医療特約に入ることで自己負担を無くすことが出来ますので、先進医療に期待する方は医療保険に加入しておくと良いでしょう。

三大疾病保険に向いている人

掛け捨ての保険には入りたくない
がん以外の重要な疾病にも備えておきたい
医療保障と死亡保障を一つの保険で得たい


三大疾病保険は解約返戻金がある貯蓄型の保険のため、掛け捨てではありません。

「掛け捨てはどうしても嫌!」という場合にお勧めです。

ただ、貯蓄性がある分だけ保険料は高いです。

また、がんだけでなく急性心筋梗塞や脳卒中にも備えられ、さらに死亡・高度障害時にも保険金が支払われるため、一つの保険で幅広く備えておきたいという方にお勧めとなっています。

がん保険に向いている人

医療保障に掛ける保険料は抑えたいけど、保障は充実させたい
がん家系で、家族や親せきでがんを発症した人がいる
大半の人が罹るがんに対し、何らかの対策をしておきたい
がん治療に対して金銭面での不安は解消しておき、治療に専念できるようにしたい


がん保険は保険料が安い割に内容がとても充実しているため、がん家系の方など、がんに対する不安を抱える方にとてもお勧めな保険です。

がんは多くの人が罹り、長期化すれば治療費もかなりかさんでしまいます。

そんながん治療に対し、金銭面だけでも備えておきたいと考えるならがん保険を検討しておくと良いでしょう。